私のコレクション
この一連の版画のコレクションは、私が1960年代の半ばから日本の現代版画を普及する仕事にかかわって、三十数年の間に蒐集されたものです。そのうち笹島喜平(物故)、前田常作、,堀井英男(物故)、小林ドンゲ、尼野和三(物故)、日和崎尊夫(物故)、中島通善の7名の主要作家はいずれも私的にも親密にお付き合いをさせていただいた方々で、戦後の版画史のなかでは第一級の版画家として評価されるべき人たちであります。 ひとつの技法を自己と表現が一体になるほど究めつくして、版画でしか表現できない、日本の創作版画芸術の典型を創りあげた人たちです。このコレクションは作家自身と長年の間にわたって交際し、対話し、支援し、全身全霊で制作にうちこんでいる現場に立会い、作家自身からじかに手渡された作品の数々であります。それは、作品そのものが発する芸術の力と、尊敬と友情によって形成されたものであります。したがって、このコレクションは単品の寄せ集めではなく、ある意思によって蒐集されており、コレクション全体に意味があります。なかでも初期から晩年までほとんどの代表作を網羅した笹島喜平と堀井英男のコレクションは作家の没後10年を経て初めてここに公開するものです。
コレクションの内容の紹介(主要作家7名)