私がこれまでに企画した主な展覧会
日本の現代版画の現況を紹介するために、大小の数えきれないほどの個展やグ
ループ展を主催し、また、企画や協力をしてきましたが、私の仕事の中核をな
すのは、私自身が企画した次の六つの展覧会です。出版社在職中に企画した「
現代版画のフロンティア展」、そして独立して、プリントアートセンターを設
立してオープニング展とした「プリントアートの旗手10人展」、さらにこの展
覧会を充実させて銀座・松屋の大催事場で開催した「現代版画の展望―日本の
28人展」、札幌松坂屋から開店二周年記念展として依頼されて企画した「現代
版画の状況展」、日本航空の協力で実現した「日本の現代版画パリ展」、そし
て郷里の冨山県の朝日町立ふるさと美術館で企画した「現代版画の黄金時代展」
であります。
「現代版画のフロンティア展」
会期 1970年9月29日〜10月11日
会場 時計台文化会館
主催 美術出版社 札幌時計台文化会館後援 北海道新聞社 北海道版画協会
[出品作家]
靉嘔 尼野和三 池田満寿夫 井田照一 磯部行久 加納光於 木村光佑
黒崎彰 斎藤寿一 佐藤亜土 菅井汲 永井一正 野田哲也 矢柳剛 横尾忠則
吉原英雄
この展覧会は札幌の時計台の近くにビルを建てられた故荒巻芳さん(SF人気作
家荒巻義雄さんの父)からビルの2・3階を札幌の美術振興のためにギャラリーと
し運営したいという熱意ある構想があって、そのオープニングに意義ある展覧会
を催したいとのことで、画家矢柳剛さんを通じて美術出版社にその話が持ち込ま
れた。当時私はその出版社の「版画友の会」という版画同好会の事務局を担当し
ておりそれを基盤として『季刊版画』という雑誌を発行して、その編集にも関係
していたので、この意向をふまえて私が企画を担当することになった。当時、日
本の現代版画は国際的にも評価され、めざましい展開と活況を呈していた時代で
、新しい版画のあらゆる表現の可能性を追求する実験が試みられていた。その代
表的な作家を選定した。出品点数85点。
「プリントアートの旗手たち展」
会期 1971年10月1日〜10日
会場 ギャラリー・プリントアート
「出品作家」
靉嘔 池田満寿夫 木村光佑 黒崎彰 田村文雄 永井一正 野田哲也
横尾忠則 吉田克朗 吉原英雄
美術出版社での『季刊版画』が休刊となり、それを機に私も退職して、版画の
普及事業の拠点として、プリントアートセンターを設立した。小冊子ではあるが
『Print Art』誌を発刊し、ギャラリーも併設した。そのオープニング企画展がこの
「プリントアートの旗手10人展」である。東京国際版画ビエンナーレ展や国際版
画展で受賞作品を展示し、各作家にはさらに新作を加えていただいた。
各作家5点、総計50点展示。
「現代版画の展望―日本の28人展」
会期 1974年11月8日〜13日
会場 銀座・松屋 大催事場
主催 プリントアートセンター
「出品作家]
靉嘔 尼野和三 池田満寿夫 泉茂 井田照一 小作青史 オノサトトシノブ
上矢津 木村光佑 黒崎彰 佐藤亜土 島州一 菅井汲 田村文雄 永井一正
中林忠良 二村裕子 野田哲也 原健 日和崎尊夫 堀井英男 前田常作
矢柳剛 横尾忠則 吉田克朗 吉原英雄 脇田愛二郎
銀座松屋から依頼されてプリントアートセンターが主催した。当時話題となっ
ていた作家たちを集約して、まさに日本の現代版画を展望する総合的な展覧会で
あった。新聞各紙がこぞって記事としてとりあげてくれ、毎日新聞は現代版画の
隆盛ぶりを二日にわたって特集として紹介した。各作家4点、総計112点展示。
図録と案内状
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