季刊版画

『季刊版画』

　『季刊版画』は昭和４３年(１９６８年)に「版画友の会」の機関誌『版画』を発展させて創刊された。戦後、あるいは、明治以降、日本の版画史において、版画専門の雑誌はほとんど、版画家たちの同人誌の傾向の強いものであった。市販を意図し、全国の書店に配本したものとして画期的なものであった。編集長は川合昭三。編集内容も、画廊などで頻繁に開催されることになった現代版画の個展を紹介するために展覧会評に多くの紙面を割き、東京中心から関西の動向についても取材を拡大し、版画ジャーナルの先駆的な役割を果たした。版画愛好家に応えるためにオリジナル版画を本誌に挿入して５００部限定の特装版を普及版と平行して発行した。そのために協力して制作にあたったのは次の版画家たちである。創刊号は池田満寿夫、第２号は野田哲也、つづいて吉原英雄、永井一正、駒井哲郎、尼野和三　、浜田知明、斎藤寿一、オノサトトシノブ、菅井汲、靉嘔、黒崎彰であった。第１２号で終刊となって短命であったが、池田満寿夫以降の世代の有望な版画家たちをクローズアップして紹介した。

『季刊版画』の表紙　